軸(掛物)の楽しみ方

第3号【2005年 秋】

茶席の軸(掛物)にはその日の席の亭主の主題を示す大切な役割があります。 今回は数ある軸の種類より最もよく用いられる「一行物(いちぎょうもの)」という、禅語を一行に書いたものを二つご紹介いたします。

喫茶去
(読み方)
きっさこ


◎中国の趙州禅師のお言葉で、如何なる場合でもお越し下さった方に“お茶でも如何ですか”と心のこもった一服のお茶を差し出す事ができる思いやりのあるおおらかな心構えが何ごとにおいても大切であることを表す言葉です。

楓葉経霜紅
(読み方)
ふうよう
しもをへて
くれないなり


◎楓(かえで)の葉が晩秋に霜を経て美しく紅葉するように、人間もまたさまざまな苦労を経験し、それをしのぐことによって、はじめて人ができるということです。